Cloudflare Workersでサーバーレスへ:オンプレミスからエッジコンピューティングへの移行

2025年4月6日
Cloudflare Workersでサーバーレスへ:オンプレミスからエッジコンピューティングへの移行

移行の旅

オンプレミスのDockerコンテナからCloudflare Workersへのインフラ移行を決めた時、大きなアーキテクチャの変更になることは分かっていました。ここでは、その経験、直面した課題、学んだ教訓を共有します。

初期アーキテクチャ

元のセットアップ:

  • マイクロサービス用Dockerコンテナ
  • リバースプロキシとしてのNginx
  • データ永続化用PostgreSQL
  • キャッシュ用Redis
  • カスタムCI/CDパイプライン

なぜCloudflare Workers?

決定に影響を与えた要因:

  • コールドスタートなし
  • 数秒でのグローバルデプロイ
  • リクエスト単位の料金体系
  • 組み込みDDoS保護
  • エッジコンピューティングの利点

移行プロセス

1. アーキテクチャの再設計

  • モノリシックサービスの小規模機能への分割
  • エッジコンピューティング向けDBアクセスパターンの適応
  • KVストアを使用した新しいキャッシュ戦略の実装

2. コードリファクタリング

  • Workers runtime互換へのAPI書き換え
  • V8 isolates向け最適化
  • 適切なエラー境界の実装

3. データレイヤーの変更

  • PostgreSQLから分散ソリューションへの移行
  • キャッシュ用Workers KVの活用
  • リレーショナルデータ用D1の実装

直面した課題

  1. ベンダーロックイン
    • Cloudflare固有のAPIとサービス
    • カスタムランタイムの制限
    • 移行の複雑さ
  2. アーキテクチャの制約
    • 50msのCPU時間制限
    • メモリ制限
    • 特定のランタイム環境
  3. 開発ワークフロー
    • ローカル開発の違い
    • テストの複雑さ
    • デプロイメントの考慮事項

予想外の利点

  1. パフォーマンス向上
    • 設計時の強制最適化
    • より良いキャッシュ戦略
    • グローバルな遅延削減
  2. コスト効率
    • リクエスト単位の課金モデル
    • アイドルリソースコストなし
    • 自動スケーリング
  3. 開発者体験
    • 簡素化されたデプロイプロセス
    • 改善された可観測性
    • 向上したエラー処理

学んだベストプラクティス

  1. エッジ向け設計
    • 小規模で焦点を絞った機能
    • コールドスタート最適化
    • 適切なストレージソリューション
  2. テスト戦略
    • 適切な統合テストの実装
    • ローカル開発用miniflareの使用
    • パフォーマンスメトリクスの監視
  3. セキュリティ考慮事項
    • 適切な認証の実装
    • Workers Secretsの使用
    • 最小権限の原則の遵守

結論

Cloudflare Workersへの移行は制約とベンダーロックインの懸念をもたらしましたが、パフォーマンス、スケーラビリティ、開発者体験の面でのメリットは移行を価値あるものにしました。重要なのはトレードオフを理解し、それに応じてアーキテクチャを設計することです。