移行の旅
オンプレミスのDockerコンテナからCloudflare Workersへのインフラ移行を決めた時、大きなアーキテクチャの変更になることは分かっていました。ここでは、その経験、直面した課題、学んだ教訓を共有します。
初期アーキテクチャ
元のセットアップ:
- マイクロサービス用Dockerコンテナ
- リバースプロキシとしてのNginx
- データ永続化用PostgreSQL
- キャッシュ用Redis
- カスタムCI/CDパイプライン
なぜCloudflare Workers?
決定に影響を与えた要因:
- コールドスタートなし
- 数秒でのグローバルデプロイ
- リクエスト単位の料金体系
- 組み込みDDoS保護
- エッジコンピューティングの利点
移行プロセス
1. アーキテクチャの再設計
- モノリシックサービスの小規模機能への分割
- エッジコンピューティング向けDBアクセスパターンの適応
- KVストアを使用した新しいキャッシュ戦略の実装
2. コードリファクタリング
- Workers runtime互換へのAPI書き換え
- V8 isolates向け最適化
- 適切なエラー境界の実装
3. データレイヤーの変更
- PostgreSQLから分散ソリューションへの移行
- キャッシュ用Workers KVの活用
- リレーショナルデータ用D1の実装
直面した課題
- ベンダーロックイン
- Cloudflare固有のAPIとサービス
- カスタムランタイムの制限
- 移行の複雑さ
- アーキテクチャの制約
- 50msのCPU時間制限
- メモリ制限
- 特定のランタイム環境
- 開発ワークフロー
- ローカル開発の違い
- テストの複雑さ
- デプロイメントの考慮事項
予想外の利点
- パフォーマンス向上
- 設計時の強制最適化
- より良いキャッシュ戦略
- グローバルな遅延削減
- コスト効率
- リクエスト単位の課金モデル
- アイドルリソースコストなし
- 自動スケーリング
- 開発者体験
- 簡素化されたデプロイプロセス
- 改善された可観測性
- 向上したエラー処理
学んだベストプラクティス
- エッジ向け設計
- 小規模で焦点を絞った機能
- コールドスタート最適化
- 適切なストレージソリューション
- テスト戦略
- 適切な統合テストの実装
- ローカル開発用miniflareの使用
- パフォーマンスメトリクスの監視
- セキュリティ考慮事項
- 適切な認証の実装
- Workers Secretsの使用
- 最小権限の原則の遵守
結論
Cloudflare Workersへの移行は制約とベンダーロックインの懸念をもたらしましたが、パフォーマンス、スケーラビリティ、開発者体験の面でのメリットは移行を価値あるものにしました。重要なのはトレードオフを理解し、それに応じてアーキテクチャを設計することです。